ちょっと落ち着き。


先週は農薬担当者がパニックになっている別の分析所に出稼ぎに行ったり(といっても餃子というよりあらゆる加工食品が来てるそうですが)、自分にも異動内示が下ったりで慌しかったのですが、業界的には落ち着きつつあるというか、対応ができつつあるようです。
公益法人はあんまりできませんが、農薬分析してる営利の検査機関も色々売り込みに余念がないようですし。


あと、「http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080217-00000058-san-soci」ということで、同業者の汚染の疑いもないということになったようで、ちょっと安堵。
というか試薬使えるような人間が意図的に混入するとしたら詳細分析で不純物分析されることくらい折り込みそうな気するけど 出た不純物ってどんなのかなあと興味があったり。



厚生労働省からも高濃度汚染用の分析メソッドが発表されたりしまして、まあ検出限界が上がっているので通常の残留農薬の確認には使えないのですが、「お上の指示に従って分析しました」といえるのでとりあえず今後混入事例が出ても分析屋がとばっちり食らう可能性は減ってきたんじゃないでしょうか。
ほんと貧乏くじですからね…家庭の雨漏りを降水確率で出せって言われてるようなもので。


食品行政の方も色々動きがあったようです。
賞味期限・消費期限を消費期限に一本化するとか、原産地表示を徹底するとか、輸入加工食品の農薬検査をしていくとか。
もうぐだぐだだなぁ、というのが個人的感想。
全体的に交通事故を防ぐために人間ドック受けましょうみたいな事態になっている気がするんだけど…
狼少年になったもん勝ちみたいな「村人みんな狼少年」社会を目指してるんでしょうか。


さて前のエントリ週が明けて/分析屋のセカイ - *graphid:CrowClaw氏より頂いたブクマコメで

「安心を買いたい」欲望は分るが、「不安を買いたい」欲望はよくわからない。

という一言がありましたけれど、全く持ってそうなんですよね。一応食品安全の前線で働いている自分でも不安なものをわざわざ買わない。いわゆる健康食品とかね。
当然不安なものを手にしたくないというのは誰しも持っているけれど、しかし今の状況は安心/不安がとーーーっても消費者サイドの"空気"によって決められているという現実があるのです。本来問題とされるべき安全か危険かを無視してね。「わからないことはとりあえず怖い、理解できたような気がするものはとりあえず安心、知り合いが薦めるものは安心」という認知バイアスって頑なだなあと他人事のように思っていたりもします。*1


もちろん、衛生状態に問題があって改善しないような企業は淘汰された方が良いんですが、その淘汰とかの感度設定を適切にして「ある程度のリスクを見込む」ことをしないと、いずれはコストに跳ね返ってくるし、喫食者の歯の詰め物がとれただけの異物クレーム*2で会社が潰れたりしかねないんじゃないかと危惧。


それにそんな世の中だと食品テロの費用対効果が良すぎるんじゃないかと…。

*1:安全か危険かだけで判断されるようなら真っ先に市場からタバコと酒が無くなっちゃいますが(笑) 

*2:実際結構あるみたいです