冷凍餃子からメタミドホス

子どもさんが巻き込まれて痛ましい。皆様はやくよくなって下さい。


さてさて、きっと今頃各保健所・地方衛研で罵詈雑言の数々が唱えられていることだと思いますが、冷凍ギョーザの輸入量とか裾野を考えて、被害者の数が(今のところ)明らかに少なすぎるんですよね。
厚生労働省発表資料で、輸入届出13t×2で被害者十数人というのは、農薬残留というより異物混入に近い見方をするべきでしょう。


もちろん当然今後増えるはずだとはいえ、メンタル原因での下痢・嘔吐やクレーマーも増えるでしょうから、データの精度(というコトバが適切かどうかわかりませんが)は落ちてくるので、なんとも言えないところではないでしょうか。


正味のところ、なんらかの管理ミスで原末みたいに高濃度なものがどこかに付着したか、あるいは悪意を持った混入かというところではないかと思います。(通常の農薬残留であれば、餃子のあんを練る時点で当然希釈・拡散していく訳で、重篤な被害事例が起こることは考えにくい)
正直、通常の輸入時検査では理化学としてサイクラミン酸・TBHQ程度をやってるかやってないかというところで、残留農薬検査は当然スルーだったと思います。
もちろんピンポイント汚染であれば抜き取りでの残留農薬検査ではカバーできないですし、ポジティブリスト制が導入されたと言っても全ての加工食品に全ての農薬の検査を実施することは今の検査屋さん業界では到底できることではなくって(農薬だけで800種程度、動物用医薬品に至ってはいまだ分析法すらないものも多いし、それを全てのロットで実施するのは)メーカーの管理を徹底するより他対策はないでしょう。
もちろんこれは中国に限らず、他の国のものでも、国産のものでも同じことが言えますが。


とにかく、いやーな、心地悪いニュースです。
ともあれ、マスコミさんには落ち着いた、かつ正確な報道を望みたいです。*1
それから検出したのが県警ということでしたが、なんで地方衛研とか保健所でなく県警の検査だったのか(有機リン中毒で事件性が高いと思って食中毒として処理しなかったのか)、アセフェート(国内登録農薬で、分解されてメタミドになる)の可能性はどうなんだろうとか、いつも報道されないけど検出濃度はどうだったのかとかも報道してくんないかな…


検査屋としては「中国産食品は全て検査する」とかマスゾエさんが言い出さないことを祈りますが…産科どころじゃない焼け野原になっちまうっすよ。検査したところで完全ではないし、訴訟リスク相当高い案件であります。


とりあえず、しばらくは業界のヘッジという意味で冷食餃子食べる日々にしようかな。

*1:おそらく国産のものも含めて冷食業界に風評被害が出るでしょうね